過去ログ - オリジナル百合SSアンソロジー集
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172: ◆kki2TKFLsM[saga]
2015/06/08(月) 23:33:05.25 ID:cGKDUY/+o
百々「……ふぅ」
さて、出来たのはいいけれど、肝心のあの子はまだ訪ねてこない。
なんの確信もなしに、料理をした私が悪いのだけれど……。
もし、このまま、誰も来なかったら……なんだかさみしい。
そもそも、この行為は、なんだか独りよがり。
相手が、何か作ってとか、他にも食べてみたいとか、頼んできたわけでもないのに
勝手に調理して、今か今かと来訪を待ち望んでいるのです。
百々(……駄目。あの子の笑顔見たさに、早とちりしちゃった)
百々(あの子の事情を何も考えないで、こんなに作っちゃって……)
百々(本当に、来なかったらどうしよう。こんなに一人で処理できない)
百々(捨てるのはもったいないし……誰かにおすそ分けする感じでいいかな……)
百々「うぅ〜〜ん……」
百々「……」
百々「……ん?」チラッ
千代「――!」キラキラ
百々「ほぁ!」
あごに指を当て、宛先不明になり掛けている手羽元の行方をかんがえているときに
ふ、と窓の外を目を向けたら。
窓にはりついて、こちらを……テーブルの上に置いてある、手羽元に熱い視線を送る子が一人いました。
その子は、昨日私が焼いたドーナツを……結局半数以上も平らげた、例の待ち人でした。
百々(きっ、きたぁ〜っ……!)
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