過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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◆bBUdJHUgklsz
[saga]
2015/08/08(土) 21:01:44.11 ID:3Sf6fHgI0
―――
「あなたは、残りなさい」
扶桑の口から出た言葉が、鋭く、深く、突き刺さった。
それは容赦ない切り捨ての言葉。
「今のあなたじゃ、居ても居なくても同じだから」
足手まといだ、と愛する姉に言われてショックじゃないわけがなかった。
その言葉、眼差しが、冷たく山城を射る。
「なんで、ですか……」
そう答えるしかなかった。
厳しい言葉に、冷たい視線に、耐えて。
しかし、内心そう言われることも仕方がないとさえ感じた。
姉の覚悟を知った。胸に秘めた熱い思いを、知ってしまった。
死を厭わず、皆を守る戦に出られることが幸いだと。
玉砕覚悟の無謀な作戦だと、無意味な死だと後世に伝えられてしまうかもしれない。
敵の罠に嵌ったがため、ヤケクソな特攻作戦で沈んでいった哀れな艦娘だ、と。
名誉も武勲も何もなく沈む、そんな可能性だってあるのに、いやむしろその可能性のほうが高いのに。
それが誉だという。
それが艦娘としての矜持だという。
一花咲かし、死に場所にこの海を選ぶことが。
戦う機会さえ与えられなかった自分が、最後に戦場に立つことができる。
それが、最悪の戦場であっても、だ。それだけの覚悟が、扶桑にはある。
対して自分はどうだ、と山城は自問する。
自分に、姉のような覚悟があったか、と。
皆を守るために、我が身を省みず勇んで行くことができるかと。
答えは明白で、悩む余地すらない。
姉は熱く静かに戦う意思を燃やしているというのに。
惨めに、メソメソと。
作戦内容を聞いて、死を背に受けてただ恐怖に身がすくんだ。
皆の、大好きな家族のために戦おうとすら思わずに。
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