過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
1- 20
182: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/08/09(日) 23:26:15.94 ID:6kNqH4Mg0
 

耳元で鳴り響く轟音に、もうすでに聴力がおかしくなっていた。
 海水の飛沫と自らの血で視界もかすみ、蔓延する火薬の匂いで鼻も利かない。
 
 足がもつれ、よろける。よろけて、膝をつき、容赦なく上から降り続ける鉄の雨。
 それをその身ですべて受け止める。腕に、足に、背中に。

 肉の焦げた匂いと、夥しく流れ出る血。しかし、既に痛みも感じなくなっていた。
 衝撃を感じても、そういった感覚はすでに失われている。
 立ち上がろうとしても、力が入らない。状況も分らない。
 頭が真っ白になる。自分がどこにいるのかも分からなくなる。
 呼吸がきちんとできているのか、それさえも分らない。
 
 それでも、まだ生きている。まだ、戦える。
 
 
 ――姉さまは……あそこ、か……

   
 右後方で今も必死に抵抗を続ける姉の姿を見て、安心したように小さく笑みを作る。
 その姉の姿さえ、すでに朧げにしか見えていないというのに。
 攻撃を受け続ける自分を見つめる眼差しが、どんな感情なのかも分からないというのに。
 
 そこに、最愛の人がいる。 




 それだけで、山城は笑顔になれる。
 不思議なことに、恐怖心など、いつの間にか消えていた。
 共に在ると、戦うのだと。そう誓った、その想いは、もう揺るがない。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
236Res/136.79 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice