過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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21: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/07(木) 00:00:44.89 ID:wkugpdxV0
淡々と、ただ紙上の文面だけを読み上げたかのように、無機質な声で語る。
 敵の勢力を、鎮守府の現状を、諸島防衛の意義を。簡潔明瞭に、速やかに伝える。
 一切の感情を殺したような冷たさを、扶桑は感じていた。

「一応確認してもよろしいですか?」
「なんだ」
「護衛は本当につかないのですね」
 
 扶桑の問いかけに、短く、ああ、とだけ答える。
 思わず目を伏せ、フルフルと首を振ってしまう。隣の山城が震えているのがよくわかる。
 伝えられた作戦が、間違いであってほしかった。そんなことはないだろう、と心の片隅で期待していた。
 それも、その一言で潰される。

「念のため、諸島近くまでは駆逐艦数名を護衛につけさせる。だが、そこから先は2人だけで行ってもらう」

 先ほど提督は、できるだけ犠牲を小さく、と言った。それの意味すること。

「つまり、提督は、私たちは犠牲にならないといけない、と言うのねっ……」
「……そうだ」

 震えた声で話す山城に、扶桑は何も声をかけてあげることができなかった。
 何を、言えるというのだろう。ここでどんな言葉をかけても、それはただの気休めにしかならない。
 今、目の前で、死の宣告を告げられて。
 かける言葉など、持ち合わせてはいない。



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