過去ログ - 扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」
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22: ◆bBUdJHUgklsz[saga]
2015/05/07(木) 00:03:24.67 ID:wkugpdxV0

「は……ははっ」
「山城……?」
「ははっ、あははははっ」

 両目を片手で覆い、声高らかに笑い声をあげる。
 通常ならば気でも触れたのかと思われても仕方がない。
 痛々しくて、憐みの視線を受けることだろう。
 だが、分かっている。

「ふ、不幸だ不幸だって言い続けてきたけどっ。まさかこんな最高級の不幸が待っていたなんてねっ」

 その眼を覆ったてのひらは、零れるものを隠すためだと。
 高らかな笑い声は、必死で我を保たせるためなのだと。
 知っているからこそ、痛いほど気持ちがわかるからこそ扶桑は心を痛める。
 最愛の、たった一人の妹が、ここまで追い詰められている。
 
「欠陥扱いされてっ、大した活躍もできないままでっ」

 隠れきれないものがその手から溢れ出る。袖でごしごしと擦り涙をふき、キッと提督をにらみつける。
 山城自身、敵意を込めて精一杯睨んだつもりだった。
 ただ、実際の山城の視線には一寸の怒気も含まれてはいなかった。

 必死で訴える、弱弱しい、懇願の眼だった。

「あんたに捨て駒として使われるなんてねっ!」




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