18:名無しNIPPER[saga]
2015/05/10(日) 16:45:20.46 ID:LDSt2pnJ0
ようやく、彼らは会社へと到着した。
記憶をたどるように、通路を進んでいくと見知った部屋が見えた。
と、その扉の前に女性が、腕を組んで不満たらたらに男たちを睨んでいた。
見たこともない人である。
すらっと背は高く、つんと尖った鼻はプライドの高さを表しているかのようだし。
こちらを恨みがましく見る目は、まるで一か月放置された飼い犬だ。
「ちょっと先輩、なにをしたんですか」
宇佐義は耳元でささやく。こそばゆいから、やめてくれ。
「いや、心当たりがまったくないんだ。というか、彼女は誰なんだ」
「えっと、ちょうど一週間前に入ってきた子ですよ。名前はおおかみさん。確か、社長のコネで入ったとか」
「なら、宇佐義さんに話があるんだろう。謝ってきなさい」
「そ、そんなへまはしませんよ、先輩だって知っているでしょう」
宇佐義はない胸を張った。
少しばかり、諌める必要があるみたいだが後回しだ。
「じゃあ、おれに用があるのか」
「絶対あの顔は男さんに文句があるんですよ、今にも噛みついていそうですもん」
「顔で分かるの?」
「女の勘です」
「なんでそんなに説得力あるんだろうな…」
男と宇佐義が口論して、一向に近寄ってこないことに耐えられなくなったのか、『おおかみさん』はきっと一瞥して
仕事場に戻った。
男は、なんだか、また出張に行きたくなった。
揉め事なんて、真っ平御免だ。
一旦終り
36Res/23.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。