23:名無しNIPPER[saga]
2015/05/11(月) 18:28:41.49 ID:sr/n3AUZ0
ゆっくりと『おおかみさん』は言った。
「なくな、わたしがあんたをかんでやる」
男の返事も待たず、静かに、しなやかに『おおかみさん』は近づいてきた。
その姿は、今朝の宇佐義を思い出させた。
獲物を怖がらせない、そして逃がさないための歩き方。
気付けば『おおかみさん』はすぐ目の前にいた。
「てをだせ」
男は幾らか躊躇した様子を見せた。
「すると、どうなるんだ」
『おおかみさん』は呆れたように言った。
「ほんとうに宇佐義は、あんたには、なにも言わなかったんだな」
男は唐突に、混乱した。
「宇佐義?」
『おおかみさん』は唱えるように呟いた。
「わたしたちは、うちゅうおおかみ
かまれたやつは、うちゅうおおかみ
独りが嫌な、それだけの存在
宇佐義はあんたをかまなかった
それだけのこと」
そう言って、『おおかみさん』は男に飛び掛かった。
36Res/23.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。