28:名無しNIPPER[saga]
2015/05/16(土) 02:14:53.18 ID:ktooz+fw0
男は息を切らせて、人気のない道を走った。
彼の怠けきった肉体は、すぐに悲鳴を上げた。
血中の酸素不足によって、頭にうすもやがかかる。
胃がひどく痙攣し、内容物が何度もこみ上げてくる。
男は心の中で、弱音を吐いた。
きつい
こんな運動は自分にはまったく向いていない。
はたして、最期に走ったのはいつ頃だったか。
高校生のときだったか、大学生のときだったか。
走っている自分の姿を全く思い出せないことに男は気づいた。
一瞬動揺したが、頭に浮かんだ当惑を慌てて振り払い
また忘れることにした。
忘れることは悪いことではない。
むしろ、幸せまである。
それが、彼がついに編み出した自己防御術だった。
そして、今夜のことも忘れようとしていた。
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