25: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/05/13(水) 17:49:39.40 ID:KZKKvfE00
楽しかった時間が終わった。逢瀬の時間は王子にとって、至福のひと時。
王城に帰る足取りはやや重い。姫との別れの寂しさを引きずり、そして――
姉姫「遅かったわね王子」
王子「すみません…」
憂鬱でしかない時間を遠ざけるかのように。
王「勇者を生んだ我が国に世界中から注目が集まっているというのに、その国の第一王子が遊び歩いてばかりでは外聞が悪い」
姉姫「ご安心を父上。建前上は、無人の魔王城の調査ということで噂を流しておりますわ」
王「そうか、流石姉姫だ」
姉姫「だけど噂にも限界はあるの。王子という自覚をしっかり持って頂きたいわ、王子」
王子「はい…姉上」
王子はそんな姉姫が苦手だった。
姉姫「王子、貴方がそれなりに勉学も剣も努力を重ねてきたことは知っているけど」
優秀さから来る隙のなさ、それに――
姉姫「人並み以上に努力しても人並みにしかなれないのなら、せめて人並みを維持して下さらない」
王子「…っ」
不出来な弟に対しての、容赦ない程の辛辣さが。
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