73: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/05/16(土) 18:58:19.60 ID:gEjvLFLL0
 王子「どうしてそんなこと言うんですか!?」 
  
 王子は姫に向かって1歩踏み出す。 
  
 王子「うわっ!?」 
  
 だが王子の足元の瓦礫がボコッと盛り上がって、それを阻止した。 
  
 姫「たった今、思い出しました…」 
  
 王子「思い出した…って何が?」 
  
 姫「先代魔王の娘としての記憶――それに、力の使い方も」 
  
 そう言うと姫はフワッと宙に浮いた。 
 信じられない光景だった。だがそれすらも、今はどうでも良かった。 
  
 王子「俺と居られないって、何で!?」 
  
 王子は宙に手を伸ばす。 
 今にでもここから居なくなってしまいそうな姫の姿を、捕まえたくて。それでも手は届かなくて、せめて目に嘆願を込めて。 
  
 姫「私は魔物の姫で、貴方は人間の王子――」 
  
 王子「関係ない!!」 
  
 王子は躊躇なく言い切った。 
  
 王子「だって俺は――」 
  
 姫「ごめんなさい、王子様」 
  
 王子の言葉を遮った。全て聞いてしまえば、決意が鈍ってしまう。 
  
 姫「さようなら」 
  
 王子「姫さ――」 
  
 振り返ることなく、姫は飛び去っていった。 
 それでも王子は、声の限り叫んだ。 
  
 王子「俺は――貴方の王子だから!!」 
  
 声が届いたのかすらわからぬまま、やがて姫はその姿を遠くへ消した。 
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