過去ログ - 王子「囚われの姫君に恋をした」
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78: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/05/17(日) 18:48:10.59 ID:FPT0xFOF0
暖かい時期が過ぎ、少しずつ涼しくなり始め、あっという間に寒風吹きすさぶ季節が訪れた。
時の流れと共に過去の出来事は新しい出来事に上塗りされ、人々の中では魔王は過去の存在となっていた。

姫「うううぅぅ寒い寒い寒い」ブルブル

厚着した姫は、ようやくの決心をして外に出た。
彼女が住む小屋の中も十分に寒かったが、それでも外の空気よりは随分マシだ。

姫(でも食べるものももうないし、探してこないと…)

姫は今、人里離れた山小屋で生活していた。
勇者はきっとまだ諦めていないだろうし、魔物達も新たな王を立てようと計略していると噂に聞いた。

正直、どちらにも関わりたくはない。それで人とも魔物とも関わりを避けて、こんな山奥にやって来た。
生活は楽ではない。稼ぐ手段もない姫は、自分で食料を探さなければならなかった。しかも自分の手料理は、美味しいとはとても言えない。

姫(それでも、気持ちは楽よね)

何のしがらみもない、自由気ままな生活にそれなりに満足していた。
一方で、寂しいという気持ちもあったけれど。


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