過去ログ - 海未「園田海未役の園田海未です」 -SS速報VIP

過去ログ - 海未「園田海未役の園田海未です」

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43:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:43:22.62 ID:IQZReryX0
海未　　「はい、どうぞ」
美術部長「しつれいします、美術部長です…
　　　　　お、海未ちゃん！　予算申請書の提出に来たよ」
海未　　「はい。ありがとうございます。
　　　　　拝見しますね…

以下略

44:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:43:58.84 ID:IQZReryX0
数日後、問題が発覚し、私は生徒会顧問に呼ばれた。
海未　「申し訳ございません、私の責任です」
顧問　「ミスは誰にでもあることだから、大丈夫だよ。
　　　　でも、ちゃんと説明して、納得してもらうようにするんだよ」
海未　「はい、わかりました。

以下略

45:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:45:10.58 ID:IQZReryX0
ひとまず美術部長に謝ったあと、私はあたふたと生徒会室に戻った。
美術部長にきちんと納得してもらうために、私は完璧な予算案を作って、みんなの前に提示しなければならない。
一日で、一人で、そんなことができるだろうか。
できるわけがない。
アタマを抱えていると、ノックの音がした。

以下略

46:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:45:45.92 ID:IQZReryX0
絵里　「顧問の先生から聞いたわよ。
　　　　大変だと思うけど、だいじょーぶよ、誰にでもあることだから」
希　　「そうそう。大丈夫よ、海未ちゃん。
　　　　わけを話せばみんなわかってくれるよ。
　　　　エリチもよーミスしとって、ウチに泣きついてたもんな」

以下略

47:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:46:59.01 ID:IQZReryX0
絵里　「海未、潔いあなたのことだから、自分のミスを隠したいというわけではないわよね。
　　　　そうすると、ふたりに言えない理由は一つ。
　　　　あなた、ふたりに手伝わせないで、ぜんぶひとりで解決するつもりなんでしょう。
　　　　ぜんぶ解決したあとで、なにくわぬ顔で、ふたりに自分のミスを打ち明けるつもりでしょう」
海未　「…」

以下略

48:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:48:09.59 ID:IQZReryX0
そうは言ったものの、私には穂乃果とことりに真実を明かす勇気がなかった。
絵里と希と別れたあとで、私は予算関係の資料を抱え、よろよろと廊下を歩いていた。
もちろん、穂乃果とことりは、私のことを助けてくれるにちがいない。
しかし私は、これまで演じてきた理想の海未ちゃんの衣装を脱いで、ステテコパンツを履いた真の姿をさらす勇気が出なかった。
すると結局、理想の海未を演じてきた海未は、いつまでたっても臆病な海未のままだったわけだ。

以下略

49:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:48:48.71 ID:IQZReryX0
ああ、「いつかつまずくわよ」と言った真姫の診断は、やっぱり正しかった。
そして真姫の言ったとおり、放送室で言いマチガイをしたときより、ずっと痛い。
転んだ足じゃなくて、胸のずっと奥、海未Cのいるあたりが、ちくちく痛む。
起きあがることもできずに、ぶちまけた資料に顔をうずめて、ボーゼンと私が突っ伏していると、あの日私を舞台に上げてくれた幼なじみの声がした。

以下略

50:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:49:28.62 ID:IQZReryX0
ふたりから起こしてもらったあとで、私は平静を装いつつ、事情を話した。

海未　「すみません。私のせいです。
　　　　でも穂乃果とことりの手を借りるには及びません、私ひとりでできますから。
　　　　起こしてくれて、ありがとうございました。

以下略

51:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:50:30.61 ID:IQZReryX0
それから私は、穂乃果におんぶしてもらったり、ことりにだっこしてもらったりしながら、ホウホウの体で生徒会室にたどりついた。
それからあとのことは、多くを語る必要はないだろう。
穂乃果とことりは、一も二も言わずに予算案の作成に協力してくれた。
三人がかりでやっても、もちろん一日では終わらなかった。
予算会議の直前に、なんとか予算案を作り終え、予算会議は何とか無事に終わった。

以下略

52:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:51:20.73 ID:IQZReryX0
会議のあと、事務的な作業を終えたときには、あたりはすっかり暗くなっていた。
そういえば、今日の会議では、私はいちども言いマチガイをしなかったな。
真姫の言ったとおり、海未C（ダーク園田）は、私が思っていたほど悪いやつじゃなかったみたいだ。
海未Cが引き起こした愉快な言いマチガイは、揚げ足取りなんかじゃなかった。
胸の中に隠れた海未Cは、弱っちいままの海未A（シャドー園田）が、理想の海未B（ファントム園田）を演じきれないのを見かねて、助けの手を差しのべていてくれたのだ。

以下略

53:名無しNIPPER[sage]
2015/05/11(月) 18:51:54.03 ID:IQZReryX0
もう夕日も沈んで、都会のどまんなかだというのに、星がよく見える。
大好きなふたりの幼なじみに挟まれながら、私はすこしだけロマンチストになっていた。
中秋の名月というのは、ちょうど今ごろだったかな。
私は、ビルの合間に浮かんだ月を指さして、つぶやいた。

以下略

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