29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:22:49.12 ID:+HxJNIVIo
【透明な輪】
憂ちゃんは素直に祝福してくれた。
宇宙人であることも知った、と告げると少しだけ不安そうな声を出したけど、すぐに「それでも唯のことが好きだから」と言ったら安堵してくれた。
たとえ宇宙人でも何も変わらず、素敵な姉妹だと思う。
梓も祝福してくれたが、その直後に梓のほうから憂と付き合っているということも明かされた。
「憂から聞いてますか?」と言われたので同意した後、せっかくだから根掘り葉掘り聞いておいた。まあ、あまり教えてくれなかったが。
梓が明かしたがっていたから、憂ちゃんも私と唯にすんなり明かしたんだろうか。
そしてもうひとつ。嬉しいことに、憂ちゃんがパソコンで通話して和と連絡を取り合っていることも知れた。
しかも私が晶に教えられたあのソフトで。というわけで、晴れて私のアカウントに憂ちゃんと和の連絡先が追加された。
チャットでもいいけど、遠くにいる人との会話なんだしせっかくだから声も聞きたい。というわけで同時に自分の電話番号も追加しておいた。けどプロフィールを変えるのを忘れてたので二人にものすごくツッコまれた。
唯もパソコン買えばいいのに、と思ったものだが、
澪「唯は憂ちゃんと和が話してることとか知らなそうな感じだったけど?」
憂『私は教えてもいいと思うんですけど、和さんがダメって』
澪「へえ……変な話だな、あの和が唯に教えたがらないなんて」
憂『和さんいわく、「唯にパソコンなんて使いこなせないだろうし、仮に使いこなせてしまったらますます勉強しなくなるわ。きっと毎晩話に付き合わされるわよ」だそうで』
澪「あ、ああー……唯も毎日頑張ってはいるんだけど、否定しきれないな……」
憂『ですよね……』
……とのこと。
付き合いの浅い私やついつい甘やかしてしまう憂ちゃんとは違い、唯のことをよくわかっているクールな意見だった。
そんな話をパソコンを通して和にしてみると、
和『……私だって、唯と話したくないわけじゃないのよ。来年くらいになれば教えるつもりでいるわ』
来年度ではなく来年となると、最短だと一ヶ月後くらいか。
最短なら、だけど、要するに和もそんなに長い間『唯断ち』が出来るわけではないようだ。
澪「……和がデレた」
和『何よデレって。唯と付き合っているなら、そこは同意してくれないと困るわ』
澪「そ、それもそうだな。わかるよ、うん」
和『そもそもメールは続けてるしね』
澪「あっ、そうなんだ」
話を聞いたところ、和の携帯電話だと海外での使用に多少の設定が必要らしく、面倒なので家に置いてきたとのこと。よって連絡方法はパソコンに限られているとのこと。
パソコンに限られること自体は予想通りだけど、その理由が「面倒なので置いてきた」って……和も唯に負けず劣らず時に予想外なことをするから困る。
……もしかして、和も宇宙人だったりするんだろうか? と一瞬思うけど、さすがにそこまで誰彼構わず疑うのは自分を嫌いになりそうなのでやめる。もっとも仮に宇宙人だとしても接し方を変えるつもりもないけど。
あっ、そういえば、和は唯が宇宙人だということを知ってるんだろうか? 付き合いは長いから知ってそうでもあるけど……どうだろう?
知らないなら勿論黙っておく。唯の秘密をバラすわけにはいかないから。でももし知ってるなら何か貴重な話が聞けるかもしれない。
どうにかそのあたりを探れないだろうか。わかる人にだけ伝わるような、そんな言い方はないかな……
澪「そ、そういえば和。話は変わるけど、宇宙人っていると思う?」
悩んだ結果、こうやって世間話から軽くジャブを入れていく感じで探る方法を考えた。
とりあえずこれで和の出方を伺えば、少しは見えてくるはず――
和『……ああ、唯のこと聞いたのね? 良かった、言うべきか悩んでたのよ』
澪「え、ええー!? こっちが見抜かれた!?」
和『そんなに驚かれても……久しぶりの電話で振る世間話にしては澪らしくないし、相手が唯の恋人だし、そして何より澪、声が上擦ってるわ』
澪「そ、そんな冷静に分析されても……」
和『澪はわかりやすいのよ。まあ軽音部全員わかりやすい良い子達ばかりだけどね』
澪「うぅ……」
散々唯をわかりやすいやつとか言ってきたけど、他の人から見れば私も同レベルだったのか……
律に関係を見抜かれてたという前科もあったけど、電話でまでそう言われるとなんというか、身悶える恥ずかしさがある。
60Res/152.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。