過去ログ - 澪「グレイッシュ・ガール」
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37:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:34:22.42 ID:+HxJNIVIo


律「…………あ、解決した?」

紬「しっ!りっちゃん、お邪魔虫は退散しましょ」

澪「そういうのいいから!」





……明日、唯は発つそうだ。
私も帰ろうと思えば明日帰れるんだけど、唯を信じて送り出す立場を選んだわけだし、帰るのは明後日にしよう。

……そう思っていた。
寝る前に届いた一通のメールを読むまでは。

この時の私には、このメールの差出人の意図も、そして唯があのタイミングで皆に秘密を明かした本当の理由も、全く見えていなかった。


【白色に埋もれた桜の街にて】


――結論から言うと、結局私は唯の少し後に桜が丘に帰省する形になった。
といっても、唯の件は関係ない。メールの差出人が私に会いたいと言い、時間まで指定してきただけのこと。
……一応、出来れば唯には内緒で、とは言われているが。
内緒にしてほしそうではあるがそれを強制するわけでもない、という姿勢は端から見れば不自然かもしれないが、相手が相手なのでそこまで私は不自然には思わなかった。
だって相手は。


憂「……お待ちしてました、澪さん」


「家の前に着いたら、普通に呼び鈴を鳴らしてください」
憂ちゃんに指示されたのはそこまでだった。
そんな普通のことまで指示するのもおかしな話ではあるが、特に気にせず玄関をくぐる。
そこで気づいたが、玄関にどこかで見たような靴があった。


澪「……唯、帰ってきてる?」


その疑問に憂ちゃんは答えず、唇の前に人差し指を立てた。
静かに、ということだ。


憂「今日は澪さんとお話がしたいんですが、まずはその前に、今来ているお客さんのお話を盗み聞きして欲しいんです」


優しく小声で語りかけてくる。内容はあまり優しくない気もするけど。
それに倣い、私も小声で返す。


澪「ぬ、盗み聞きって……良くないよそんなこと」

憂「大丈夫です、いつかは澪さんも知ることですから。ただ、私は今すぐに知ってほしいんです。知った上で、私の相談に乗ってほしいんです」

澪「で、でも……」

憂「……お願いします、助けてください。澪さんの意見が欲しいんです。責任は私が負いますから」


憂ちゃんがこんなにも私に縋るのは初めてのことで、逆に私が負い目を感じそうなほどだった。
責任の所在はどうでもいいけど、ここまで弱々しい姿を見せられては……さすがに断れなかった。
憂ちゃんの力になりたいと思う気持ちのほうが上回ってしまった。


澪「……わかった、どうすればいい?」

憂「……ありがとうございます。お客さんは二階のリビングにいるので、見えないところで聞き耳を立てといてもらえれば。あとでメールで連絡するので、携帯はマナーモードにしておいてください」


頷いて、言われるまま携帯電話の設定をいじる。
その後、出来るだけ気配を消して憂ちゃんの後ろについて二階へ向かった。
……といっても気配の消し方なんて知らないので、出来るだけ足音を立てないようにして、呼吸も細く長く小さくするようにする、くらいだけど。


……二階への階段を上りきる寸前で、憂ちゃんは一度私に頭を下げた。よろしくお願いします、ということだろう。
私が頷き返すと、憂ちゃんはそのまま階段を上りきって曲がり、リビングへと入っていった。
確か唯の家のリビングは扉も何もなく、階段のすぐ隣だったはずだ。私はこれ以上前に出ないほうがいいだろう。
その場で息を殺し、意識を耳に集中してみる。するとすぐに会話は聞こえてきた。



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