9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/12(火) 18:02:51.95 ID:+HxJNIVIo
【あの頃のあの子は今私の隣に居ます】
唯はわかりやすいやつのはずなのに、どこかふわふわしていて捉えどころのないやつ。
私はそう思っていた。
簡単に言えば、『自分に正直すぎで、それ故に時々私の理解や想像の上を行くやつ』だ、と。
そう思っていたんだ、想いを伝えるまでは。
今ではこう思う。
多分、ふわふわばかりの唯の中にもとても小さく細く、でも揺るがない一本線みたいなのがあって、私にはそれが見えていないだけなんだ、と。
私はその唯の周囲のふわふわが好きになったと同時に、その一本線に触れてみたくなったのかもしれない。
相手の深いところを、あるいは全部を知りたい、そんな感情も恋と呼べるなら。
そのあたりは例の、私の中の恋愛における夢と現実の違いの話にも繋がる。
想いが叶って両想いになって、二人の距離がグンと縮まって……その先で、まるで一心同体のごとく、お互いのすべてをわかりあっている二人になれるんだって、そう思ってた。
そんなことはなかった。
私は、いまだに唯の中心の一本線を見つけられていない。
正確には、ちょっとだけなら見つけてはいる。いや、唯が見せてくれた。新たに足された、その一本線の一部を。
「澪ちゃんのことが大好き。愛してる。宇宙で一番」
唯は何度もそう言ってくれた。唯がわかりやすいやつだと言う事を捨て置いても、その言葉と行動は疑いようがない『唯の中心』だった。
私がそう信じたいだけ? ううん、そうじゃない。
私に愛を語る唯の言葉とその時の行動は、私が痛いほど理解できるものだったから。私にも『見える』部分だったから。
私と唯はどこかが似ていて、どこかが正反対で、また別のどこかが似ていて、別のどこかが正反対で……そんな二人だった。
唯の『真ん中』の部分は、一体どっちなんだろう?
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【とある日の晶ちゃん】
ある日、晶ちゃんが珍しく赤い顔で私に尋ねてきた。
晶「な、なあ唯、ちょっと」
唯「ん? どうしたの?」
晶「ちょっとこっち…あんま人のいないとこで」
唯「?」
晶「あ、あのさ、おまえら……お前と澪はさ」
なんだろ。すごく珍しくすごく歯切れが悪い晶ちゃん。めずらしい。
晶「な、何回くらい『した』の?」
唯「ほえ? したって何を?」
晶「だ、だから、その……二人で愛を確かめ合うやつを」
唯「えっち?」
晶「そ、そうとも言う……」
唯「……んふふ」
晶「な、なんだよそのニヤニヤ笑いは」
唯「晶ちゃんもやっぱりそういうの気になるんだねぇ、お年頃だねぇ、華の現役女子大生だもんねぇ」
晶「相変わらずおっさんくせぇ……いいよ、お前に真面目に聞いた私がバカだった」
唯「ああん、冗談だってば」
晶「じゃあ言ってみろやぁ」
唯「実はこの前のが初めてなのです!」
言いながら、ちょっとだけドキドキしてた。
呆れられるんじゃないかとか。怒られるんじゃないかとか。
怒られるは言いすぎかもしれないけど、相手があの晶ちゃんだからねぇ……
とか思ってたけど、そんな反応は返ってこなかった。
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