過去ログ - 【艦これ】吹雪「最初からやり直す?」【安価】
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53: ◆Wb.6SYbOec[saga]
2015/05/18(月) 00:16:32.79 ID:wu/msCGWO
「大変申し上げにくいのですが、弓道場は空母の方々しか入れないのです。なので、見学というより覗き見になりますね」

「じゃあ、サインは……」

私の言葉に秋月さんは無言で首を振った。

「そんなあ……」

「そんなに落ち込まなくても、直接会う機会はあると思うのです」

「そうですよ。サインならその時に頼めば、貰えると思いますよ?」

二人から慰められる。
なんだか凄く気を遣われているみたいで、とても申し訳なくなった。

「そっか。そうだよね! うん。有り難う、二人とも」

「いえいえ」

「あ、見えたのですっ!」

電ちゃんの言葉に視線をそちらに向ける。
そこには弓を引き絞り、的に向けて狙いをつける艦娘が一人。

「あれが第一航空戦隊、通称一航戦の誇り、正規空母赤城先輩です」

秋月さんの説明は右から左に。私はその姿に目を奪われる。
綺麗な姿勢。落ち着いた呼吸。弓道を知らない私でも分かる洗練された立ち振る舞い。

「ふっ……!」

視線の先で赤城先輩が矢を放つ。一瞬にして、それが艦載機へと姿を変え、的に向けて機銃を乱射する。
三つあった的は三機の艦載機によって、綺麗に分断された。

「凄い……」

「さすがね、赤城さん」

私の気持ちを代弁してくれたのは、床に正座して赤城先輩の演習を眺めていたもう一人の艦娘。

「同じく第一航空戦隊の加賀先輩なのですっ」

その加賀先輩は赤城さんと交代する為に立ち上がり、そこで初めて私達の存在に気づく。

「あ、これは不味いのです」

裏口から無断で侵入したのだ。見付かるのは確かに宜しくない。
私達はその場から逃げ出そうとし、

「あぅっ!」

思いっきり木の枝に顔をぶつけた。

「吹雪さん!」

「だ、大丈夫なのですか!?」

思わずうずくまってしまうと心配した二人が寄ってくる。
そうこうしている内に一航戦の二人もかなり接近していた。

「無断で入ってくるのは感心しないわ」

「す、すみません! 私がどうしてもお二方を一目見たいって我が儘を言ったんです!」

「……貴女が吹雪さん?」

痛みを堪えて立ち上がり、加賀先輩に向けて頭を下げる。
そんな私に柔らかな声が投げ掛けられる。

「は、はい。そうです!」

思わず頭を上げると、声と同じ様に柔和な笑み浮かべる赤城先輩が居て。

「話は提督から聞いています。いつか、一緒の艦隊で戦いましょうね?」

それはそれは、とても嬉しい言葉だった。


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