649: ◆v5iNaFrKLk[saga]
2015/08/14(金) 16:10:44.11 ID:kCyzMtjQ0
提督「それからしばらく経ったある日だ。アイツから電話があった」
提督「これから岩崎と走ってくる……今日は凄く調子が良いなんて、いつにもなく興奮気味だったよ」
提督「それで翌朝のニュースだ。都高で事故があったなんて流れていて、ふと見たら岩崎のRがグチャグチャになって転がっていた」
提督「あのバカやりやがったのかと思ったら、女性が一人死亡なんて出た。年齢も同じ。連絡しても繋がらない」
提督「頭が真っ白になったよ……」
朝日「二人が事故を起こしたのは環状外回りの京橋ランプ付近。ブレーキ痕は、岩崎君のものしか確認出来なかったそうです」
夕張「きょ、京橋!?」
提督「お前が赤城とヤった時と、ほぼ同じ場所だ。偶然とは云え心臓が止まるかと思ったぜ」
夕張「……そんな……」
朝日「翌日、私が魔王Rを引き取りに行きました。彼は心神喪失状態ですし、関わった者として、自分にも責任がありますからね」
朝日「引き取り自体は警察が渋ったので多少時間は掛かりましたが、現車を見ることは出来ました」
朝日「岩崎君のRがあんな状態では、魔王Rも当然再起不能だろうと思ったのですが……まるで何事も無かった様に、ほぼ無傷」
朝日「警察の方も少し気味悪がっていましたね。今まで何回も悲惨な現場を見て来たが、こんなケースは初めてだ……と」
提督「せいぜい擦り傷があった程度だからな……笑えたよ。笑い過ぎて壊れるかと思った」
提督「そして気付いた。最後の最後に、またコイツは裏切りやがった。アイツを身代わりにして生き残ったんだってな……」
提督「後はお前が知っての通りだ。あのガレージに押し込んで、生かさず殺さず置いていたのヨ」
夕張「でも……提督言ってたじゃないですか!クルマはただの機械だって……!」
提督「……そうだ。それに気付いたのは、お前達艦娘のおかげだよ」
夕張「え……?」
提督「人によっては、艦娘を兵器だと云うヤツがいる。だがそれを操っているのは紛れもなく、感情を持った人間なんだ。機械は結局、人間があってこそだ」
提督「それに気付いたのは……最初に叢雲を預かり、そして小さいながらも艦隊を任されるようになってから……」
提督「やっぱりさ、俺はクルマが好きなのよ。例え連れが大事故を起こし、付き合っていた女が死んでいても……やっぱりクルマは好きだった。憎めなかった」
提督「何より、アイツが愛したクルマだ。これ以上無下にしていたらアイツが悲しむかもしれない。それでも向き合えるようになったのは、ようやく今になってから……随分時間が掛かったけどな」
由良「それで……提督さんは、このRで何をする気ですか?」
提督「……扶桑を止める。何処でRの存在を知ったのかは置いといて、これ以上放っておいたら、かつての俺みたいになっちまう」
提督「クルマのせいで狂う人間なんて、もう見たくもないからな……」
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