778: ◆v5iNaFrKLk[saga]
2015/09/08(火) 23:47:46.50 ID:xF+q4QER0
ヘッドライトの運河から、それらは現れた。
水銀灯に照らされる二台の青い狂獣――
並走するその姿は、まるで統率の取れた艦隊のようだ。
下手に飛び込めばズタズタのボロ切れにされそうな、そんな緊張感が伝わる。
魔王Rの前を行く迅帝Rの助手席には、よく見慣れた同僚の姿があった。
夕張だ。
やっぱり岩崎さんのクルマに乗せてもらったみたいだ。
ということは、やっぱり今夜決着なのか。
あとは扶桑さんが来れば、役者は揃うのだが……。
「……あれがアイツが隠し持っていたクルマ、か。何なのあの存在感」
「魔王って呼ばれてるんだって」
「仰々しい名前ね……でも、何でそう呼ばれるのかも分かる気がするわ」
「まあ、ねぇ……私も最近色んな所周っているけど、あんなクルマ他で見たことない」
あるとすれば、あの“戦艦”か……今頃あのGTOに乗って、都高を回遊しているのだろうか。
そう思った矢先、出口から鈍い炸裂音とスキール音が響いた。
カタパルトから射出されたように、黒銀の物体が勢いよく飛び出したのだ。
あれは紛れもなく扶桑さんのGTO……いつの間に居たのだろう。
あんな派手なクルマなのに、今まで気付かなかいワケがない。
「行きましょう、川内」
「そうだね。早くしないと見えなくなっちゃう」
「誰も追えなんて言ってないけど」
「だって夕張ばっかりズルいじゃん。こんな夜戦、後にも先にも見れないかもよ?」
「やっぱり無理にでも降りるべきだったわ……」
項垂れる叢雲を車内に押し込め、私達もパーキングを後にした。
どうでもいいけど、今までで一番良いスタートが出来たと思う。
「それでは本日、最初の曲です。Deepsea Drive Machine『Ray Of Light』」
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