過去ログ - 夕張「クルマ買いました!」
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798: ◆v5iNaFrKLk[saga]
2015/09/30(水) 20:42:22.68 ID:GTgWNRrF0

その瞬間は唐突にやって来た。

生麦JCT、合流手前の急な右カーブ。

工事の影響もあり、一車線になるこのコーナーで戦艦がスピンを喫した。

何の前触れもなく挙動が破綻し、制御する暇もなく大きく半回転。

ゼブラゾーンに沿って設置されたゴム製のポールをなぎ倒し、壁寸前のところで戦艦の車体はようやく止まった。

「クルマを止めよう。大したことはなさそうだけど、このままじゃ危ない。僕は発煙筒置いて来るから、夕張ちゃんはGTOをお願い」

「わ、わかりましたっ」

クルマを降りて戦艦に駆け寄る。

暗くてハッキリとは確認できないが、車両に損傷は無さそうだ。

それでも、戦艦はピクリとも動かない。

「扶桑さん!大丈夫ですかっ?」

「あら、夕張さん……どうしてココに?」

「いわ……あ、いえ。迅帝さんのクルマに乗せてもらっていたんです。それより怪我はありませんか?」

「ええ、私は大丈夫……クルマも、ぶつかっていないし……」

「そうですか……よかったぁ」

扶桑さんの顔は、今の今までハイスピードバトルを繰り広げていたとは思えない程、穏やかな表情だった。

魔王Rの姿は既に闇夜に紛れ、同時にこの狂乱の夜が終わりだということを実感する。

私はようやく、安堵した。

「兎に角、ココで止まっているワケにも行きませんし、近くのランプで降りましょう。クルマ、動かせます?」

「大丈夫よ。ごめんなさい、心配かけて」

「謝るのは後でもいいですから、急ぎましょう」



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