13:あざとい ◆05Ai05VQ.M
2015/05/15(金) 22:56:50.05 ID:txp4CA0x0
「俺は何も知らん、俺は一色に振り回されている被害者であって、断じてこんな小悪魔と付き合った覚えはない」
「可愛い後輩に向かってこんなって酷くないですか先輩」
目を潤ませながら上目遣いでこちらを覗き込んで来る一色いろは。なんでこいつはこんな衆人監視の中でこんな修羅場見たいな状況を作れるんだ。そもそも、何でこんな浮気がバレた夫みたいな感じになってるの?
「と、とにかく俺たちは福引きを引いて帰るだけだし、お前もさっき引いて一等当ててたんだから帰れよ」
「先輩冷たいですね。いいですよーだ。日頃お世話になってる先輩にせっかくこの図書カードあげようと思ったのに」
マジで?くれんの?下さいお願いします。代わりにこの福引き券あげるから。
「もう、ヒッキーそんなカードより温泉旅行でしょ」
由比ヶ浜が機嫌悪そうに呟く。どうしてそんな機嫌悪いの由比ヶ浜さん?
「もう、ヒッキー、早く引くよ!」
そう言って一色から引き離すように無理やり俺の手を引っ張って抽選会場に連れてく由比ヶ浜。怖いよ、痛いよ!
背後から一色の甘ったるい声で
「せんぱーい、特等当たったら一緒に行きましょうね〜」
という声が聞こえ、ガハマさんの引く力が更に強くなっていった。火に油注ぐんじゃねぇ、アホ後輩!
たかが商店街のクジを引くだけで途方も無い労力をすでに使ってしまっている気がする。もうさっさと引いて、小町とカマクラが待つ家に帰らねば、そう思いながら福引器のハンドルに手をつけた。
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