7: ◆IIarfIElUA[saga]
2015/05/16(土) 02:23:51.23 ID:cYFCM9Ym0
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『んっ・・・京子・・・好き、大好きなの・・・』
部室の前に戻ってきた私の耳に響いた、綾乃の声。
どうやら告白の練習ではないらしい事くらいは分かるが・・・
音を立てないようにそっと、襖の前に立つ。
畳の上を何かが擦れる音。
それに──なんだこれ、水の音?
襖と柱の隙間から部室を覗く。
私の湯呑みに口をつけて、身体を右に、左に捻りながら。
自分を慰める綾乃の姿。
その顔を見て、なぜか。
心臓がどきん、と鼓動を打った。
普段の、気の強い綾乃ではなく。
紅潮した顔で、涙ぐんだ目で、私を呼ぶ綾乃の姿。
そっか、やっぱり綾乃は、私の事が──
以前からそうじゃないかとは思っていた。
あんな態度を取られていれば嫌でも分かる。
気付かれていないと思っているのは綾乃本人くらいなものだろう。
『あ、やだ、きちゃう・・・!
京子ぉっ・・・!』
──ん〜。どうするかなぁ。
悪い気はしないんだけど、何て答えたらいいのか。
今ひとつ、恋ってものがよく分からないんだよね。
「恋する乙女」をそのまま人間にしたような、目の前にいるあの女の子なら、あるいは。
しかし、なんと声をかけたものか・・・悩むのは性に合わないんだけどなぁ。
まぁいいや、なるようになるか。
「綾乃」
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