過去ログ - CoP「羅生門」
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2:名無しNIPPER
2015/05/16(土) 20:56:42.36 ID:9uVkpaBD0
 ある日の暮方の事である。一人のCoPが、羅生門の下で雨やみを待っていた。

 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをするあやかし京娘や天衣の織姫が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。

 何故かと云うと、この二三年、京都エリアには、不具合とかBANとか手動全力とか即身仏とか云う災がつづいて起った。そこで公式サークルのさびれ方は一通りではない。旧記によると、スタドリやエナドリを打砕いて、その星の飾りがついたり、赤いロゴの入ったりした瓶を、路ばたにつみ重ねて、薪の料に売っていたと云う事である。サークルがその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、ぴにゃこら太が棲む。うさぎが棲む。とうとうしまいには、引取り手のない爆死者を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。

 その代りまた鴉がどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高い鴟尾のまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それが胡麻をまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある爆死者の肉を、啄ばみに来るのである。――もっとも今日は、刻限が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の糞が、点々と白くこびりついているのが見える。CoPは七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした緑のシノビトラディションの尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。


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