過去ログ - 長門「ユッキー……私の事を呼ぶならそう呼んで」
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7:名無しNIPPER[saga]
2015/05/17(日) 23:11:27.21 ID:Flc7T4o40


「よう、おはよう……」


沈黙。


「……何、読んでるんだ?」


沈黙。
無視、と思いきやゆっくり表紙を見せてきた。


「……面白いか?」


沈黙。と思いきや


「……ユニーク」


おお。
やったぞ俺、新しい語彙を引き出せた。



「……本が、好きなんだな」

「……割と」



どうも会話がワンテンポ遅れる仕様になっているらしい。


「あー、その……」


会話が続かない。
ふと長門有希が顔を上げた。


「なに」


その瞳は、容赦なく俺の角膜を貫き、能天気な脳ミソを貫いた。
俺のくだらない下心や妄想や邪念やその他色々疚しいものを容赦なく暴きかねないと、そう思わせるほど彼女の瞳はまっすぐだった。
もはや語彙がどうたらなどと考える余裕はなく、辛うじて浮かべた愛想笑いは恐らくかちんこちんに凍り付いていたことだろう。



「いや、なんでもない……」

「そう」



絶対零度の視線が俺から外れると同時、氷結した体が解凍され、俺は急いでねじっていた体を戻した。
会話時間おおよそ二十五秒。
どっと疲れた。
ふかぶか溜息をつく俺の傍にそっと誰かが屈んだ。ふわりと優しい香りが鼻腔をくすぐる。
見覚えのあるやわらかい微笑。
朝倉だ。



「気にしなくていいわよ。長門さん、いつもああなの」

「え、ああ……」


それから、と朝倉は少しだけ目線をさまよわせてから、ぱちりと片目をつぶった。



「ありがとうね」



びっくりするくらい完璧なウインクだった。


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