過去ログ - 【艦これ】提督たち「ユウジョウカッコカリ?」【物語風プレゼンPart1.5】終
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148: ◆G4SP/HSOik[saga sage]
2015/05/20(水) 02:24:28.79 ID:JBJuCd+m0


――――――少し囚われすぎていたのかもしれません。


【アニメ】の『私』が言ったように『歴史の再現性』というものに私自身もどこか共感を覚えているところがありました。

もちろん、【アニメ】ほど露骨ではないにせよ、私には時折 考えられる上で最悪の光景が一瞬だけ、

――――――ほんの一瞬だけ、悪い予感として過去に何度か体験したことがあったのです。それは確かな既視感を伴っていたのでした。

そして、そんなデジャヴに既視感を覚えていくうちに、私は内心 その光景に怯えながら今日まで戦いの日々を送ってきたように思います。

そう、――――――最悪の光景が再現されるのを待ち続けるような日々をずっと。

そこには史実でのあの大敗北――――――暗い海の底へのどんよりとした誘惑が立ち込めているような気がしてなりませんでした。


けれども、そんな気の迷いは先程の提督にそっくりな“あの子”の呼ぶ声によって消えていったように思います。


私はついさっき、咄嗟に“あの子”の私を呼ぶ声に反応して つい反射的に返事をしていました。

私たちの提督である清原提督と瓜二つの容姿をした、大本営が用意したという影武者の“あの子”――――――若様の声に返事をしていたのです。

冷静に考えればわかると思うのですが、若様はこの鎮守府に独立した艦隊を編成しており、指揮系統も完全に独立していました。

それ故に、本来 この鎮守府司令官である提督以外の命令には応じないのが提督麾下の艦娘である私の義務だったのですが、


あの一瞬だけ、若様の声が本物の提督の声のように思えてしまったのです。


それがちょっとした驚きと発見となりました。――――――よく考えれば違うものを“そう”だと捉えていた自分に気づいたのです。

同時に、本来の『私』である巡洋戦艦:赤城が私と一緒に返事をしたことによっても何かの観念が崩壊し、一種の悟りの境地へ導かれたのです。

私たちの提督とそっくりな幼い影武者の若様と、正規空母となった私とは似て非なる巡洋戦艦のままの『私』――――――。

私は改めてその違いをはっきりと再認識することができたのです。


結論を言えば、『歴史の再現性』などといったことは気にする必要性がまったくないという当たり前のような事実に触れたのです。


それは、自分自身が『こうあるべきだ』『こうでなくちゃならない』という偏見や心の奥底にある思い込みに囚われていたことに他なりません。

つまり、若様が【あのアニメ】を見ても私たちへの尊敬の眼差しを失わずに変わらぬ愛らしさを見せ続けているのは、

やはり現実の私たちと【アニメ】の『私たち』をわけて、本質的にそれぞれ別の存在としてしっかり一人ひとりを捉えているからなのでしょう。

だからこそ、『気にする必要はない』と言ってくれたのだと、ようやく私には理解できたのです。


――――――繰り返されることを恐れてはならない。


その心の奥底に掛けられた壁を乗り越えていくことこそが深い海の底に沈んでから遙かなる時を経て、

人としての肉体を持って生まれ変わった艦娘に与えられた人生の本義なのでしょう。





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