19:名無しNIPPER
2015/05/20(水) 14:20:40.86 ID:L3rJNf0F0
その時の時刻は、おおよそ午前4時頃だった。
私は、彼女に十分過ぎるほど慰められた後
お詫びを兼ねた礼として、朝の支度を手伝った。
朝食時に使う"おしぼり"の用意や
食堂の掃除、溜まったゴミの処理等々……
その時、私は心機一転を試みようという意気が空回りしていたのだろう
勝手な判断で『艦隊の総員起こし』をしてしまったのだ。
それ故、その日の当番であった《まるゆ》が
「皆さん、もう既に起床していました……」
と、空笑いしながら司令官殿に報告していた。
私は「余計な事をしてしまった」と反省し、彼女と司令官殿に謝罪した。
それから、私がここを発つ日までは
良くも悪くも色々な事が起こり退屈しなかった為、さほど長く感じられなかった。
破るまい、破るまいと気をつけていた筈の障子戸の紙を、考え事をしながら歩いていた所為で
額をぶつけて突き破ってしまったり
その事で、司令官殿に謝ったり。障子用のワッペンを貼り付けたり
本来客室であった筈の部屋が、根本的な改築とやらで『大浴場(温泉岩風呂)』になっていたり
それを見た司令官殿が、青ざめながら立ち尽くしていたり
遠征終了後、私と共にここへ来た護衛艦達と、その温泉岩風呂に浸からせて貰ったり……
そして、着任期日である金曜日。
その日は、《比叡》が少し変わった味のカレーを振る舞ってくれた。
彼女は、「自分の愛しい姉妹達が一般向けのカレー作りの練習に付き合ってくれたのだ」と
見た目にも分かるほど、嬉々として語っていた。
一般向けの味には、まだ程遠いような気もしたが
食べ終えた後は、「病み付きになりそうだ」と思えた。
そのカレーは美味しかったということだろう。
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