過去ログ - 【艦これ】艦娘「ケッコンカッコカリオコトワリ」 2
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390: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:38:03.73 ID:0ZrClgpZ0
自分が体を起こしたベッド脇に立ち、手を差し出していた青年が、いつまでも握られない手を苦笑いと共に引っ込める。
代わりにその手で近くの丸椅子を引っ張ってきて、自分の顔が見える場所に腰かけた。
彼の後ろには、艶やかな黒髪をうなじの辺りで短く結んだ少女が柔らかく微笑んで控える。
初対面の筈の彼女の名前が、何故か明瞭に頭に浮かんだ。『吹雪』。

以下略



391: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:38:48.80 ID:0ZrClgpZ0
ここは、どこだ。
白い壁に天井。
幾つものベッドが並べられた『部屋』という囲いだろう。
かつては自身が収まるどころか、自らの中に複数保有していたはずの囲いの中に、何故自分が。
そして何より。
以下略



392: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:39:53.08 ID:0ZrClgpZ0
青年に視線で示された吹雪は、後ろで組んでいた手を解き、先ほどの青年と同じように自分に向かって手を差し出してくる。

吹雪「吹雪です。えっと……お久しぶり、でいいですか? また会えて、本当に嬉しいです」

今度はきちんと手を握り返し、その感触にまた驚いて急いで手を引っ込める。
以下略



393: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:40:40.91 ID:0ZrClgpZ0
提督「段々と落ち着いてきたみたいだし、仕切り直そうか」

そんな自分の様子を見ていたのだろう、意識の焦点がきちんとあってきた頃合を見計らったように青年が再び口を開いた。

提督「改めて、初めまして。これから君の上官になる者だ。君を指揮していた先達と比べられると色々と及ばないと思うが、どうぞよろしく頼む」
以下略



394: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:41:22.28 ID:0ZrClgpZ0


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395: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:41:54.11 ID:0ZrClgpZ0


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396: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:43:22.59 ID:0ZrClgpZ0
艦娘の出自は、船だ。

必要とされて生み出された存在。
人が海を駆けるために必要とした道具の一種で、人間の矛や盾たらんと建造された艦船。
それは人の為にのみ存在し、そしてそれを根底に持つ私達が存在理由を同じくしているのは道理だ。
以下略



397: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:43:54.85 ID:0ZrClgpZ0
無論、対向がある。
とは言っても少数派であるが。

艦娘こそ無念の塊である、というものがその代表格だ。


398: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:44:35.24 ID:0ZrClgpZ0
私達艦娘のほぼ全ては、その顕現時に酷い過呼吸に見舞われる。
それは心の、そして『艦の記憶』に因るものだと言われている。
概ね正しいと思う。
過呼吸の理由は、艦船時の『記憶』を圧迫して理解する際に生じる、心のオーバーフローだ。

以下略



399: ◆p7uyiJsetI[saga]
2015/07/06(月) 23:45:13.62 ID:0ZrClgpZ0
義勇こそが私達の根幹であるという説を否定する気は毛頭ない。
が、それでもやはりこの目に、この体に、この心に焼き付くのはあの光景だ。

艦娘達は、同魂異体、同じ姿形を取ろうとも、それぞれは別の個体だ。
それぞれがそれぞれの心、思い、考えを持っている。
以下略



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