11: ◆and2h/yWHc[saga]
2015/05/24(日) 01:40:59.94 ID:MJkSTpLK0
「今更言い訳なんて必要ありません。死んでください」
そう言って銃を構えた彼女の手は震えていて、一筋の涙が頬を伝っていた。
「…済まなかった、神通」
「私は、貴方を殺したい。なのに…貴方はまた私を鈍らせる」
「神通、俺はお前の事を愛している。心の底から」
最初で最後の本音。嘘に塗れた人生の中で唯一の誠。
「何をまたっ!」
「どうせ俺はお前に殺される。だから返事を聞かせてくれ、冥土のみやげに」
「そうやって、貴方は私達艦娘を惑わせた!」
「俺が想いを伝えるのはお前にだけだ神通」
そう、愛したのはお前だけだよ
「そんなこと、信じられるわけがない!そうやって命乞いですか!情けない!」
「ああ、確かに情けない。だが命乞いをしているつもりはない」
「なら!」
「お前の答えを聞かせてくれ。でないと俺は死ぬにも死ねないからな」
静寂な時がしばらく流れる。今すぐに殺すことだってできる、なのに神通は俺を殺さない。それには理由があるのか、それとも、違うのか。
「…愛しています」
「そうか」
これで、那珂や他の艦娘達への土産話は出来た。もう、いいだろう。しかし、最後はせめて…
「笑ってくれ、神通。そんなに哀しい顔をしていないでくれ」
そう言って神通の頬の涙を拭う。
「…それが望みなら」
手は払い除けられなかった。那珂が沈んだ時に同じことをした時にはすぐに手を払い除けられたが、今回はそうではなかった
「ああ、最後の望みだ」
「…わかりました」
そう言って、笑った彼女にはまだ涙の跡が残っていたけれど、俺にはとても綺麗に見えた。
「さようなら、私が愛した人」
「さようなら、俺が愛した人」
響きわたる銃声。ああ、愛した人の笑顔を見ながら死ねるなら幸せだ。意識が遠のいて行く。向こうに逝ったらあいつらに話をしてやろう、俺の初恋は叶ったと…
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