14: ◆and2h/yWHc[saga]
2015/05/26(火) 01:07:34.74 ID:fTdSsP0O0
「神通、俺はお前の事を愛している。心の底から」
何を。そんなことは他の艦娘達にも言ってきたことだろう。
「何をまたっ!」
「どうせ俺はお前に殺される。だから返事を聞かせてくれ。冥土のみやげに」
言われるまでもなく私は殺す。今度こそ必ず。他の艦娘達のためにも、誰より那珂のためにも。
「そうやって、貴方は艦娘を惑わせた!」
私は惑わされない、今度こそ
「想いを伝えるのはお前にだけだよ神通」
そうやって、艦娘を惑わせて来たのか。そうして、殺したのか
「そんなこと、信じられるわけがない!そうやって命乞いですか!情けない!」
「ああ、確かに情けない。しかし、命乞いをしているつもりはない」
「なら!」
「お前の答えを聞かせてくれ。でないと俺は死ぬにも死ねない」
初めて見る提督の表情。戦闘中とも、そうでない時とも違う。初めての表情。
狡い人、そうやってまた私を惑わせるのか。
私の答えは出ている。昔から、変わらず。
「…愛しています」
ああ、また惑わされて弱くなってしまった…
「そうか」
そう言って浮かべた笑みはとても優しい物で、満ち足りているようだった
「笑ってくれ、神通。そんなに哀しい顔をしないでくれ」
そう言って提督は私の頬の涙を拭った。ああ、こんな事、前にもされた。その時には私はこの手を払い除けた。でも、今は払い除けることなんて出来ない
「…それが望みなら」
「ああ、最後の望みだ」
それが提督の望みなら、最後ぐらいは
「…わかりました」
そう言って笑った私の顔はきっと醜いだろう。笑えているかもわからない。
けれど提督は満足げな笑顔を浮かべた。
ああ、私は笑えているのか。
「さようなら、私が愛した人」
「さようなら、俺が愛した人」
銃声が響きわたり提督は血を流しながら地面に横たわる。殺した。私が、今度こそ。私が愛した人を、自分の手で。
「さようなら、提督」
もう動かない提督やなそう告げて私は執務室を、鎮守府から去った。
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