6: ◆and2h/yWHc[saga]
2015/05/22(金) 01:10:46.83 ID:2J5al0I+0
-堕ちた旗艦-
「作戦の方はどうですか」
「手筈通りに進んでいますよ、神通さん」
「そうですか。ならいいです」
「…しかし、何故こちら側に付いたのですか」
「軽巡棲鬼、あの子はきっと沈んだ那珂ちゃんなんです」
そう、トラック島周辺で見た軽巡棲鬼には沈んだ那珂の面影があった。実際に戦ってわかった。あれは那珂だと
「違うという可能性は」
「有り得ません。それとも貴女は私を敵に回したいと?」
「いえ…純粋な興味です。私がこうして喋れるようになり、感情についても学びましたが何しろ感情を持つ深海棲艦など少ないものですから理解したとは言えないのです」
「そう、ですか。感情と言うの邪魔なものですよ。兵器には、不要な代物です」
心底思う。感情は時に自分の行動を鈍らせる。その結果、死を招く事もある。ならば、無い方がいっそいい、と。
「貴女は自分を兵器だと?」
「ええ、私は兵器としてしか生きる方法を知らないので」
「貴女の提督と言うものはそんなに酷かったんですか」
「…逆ですよ」
提督、私達の提督。私達を人間として扱ってくれて、私達と一緒に笑ってくれた人、泣いてくれた人、怒ってくれた人。
「では、何故兵器としての生き方しか知らないのですか」
「…知りたくなかった。兵器として以外の生き方を知って、提督の優しさに触れて自分が弱くなるのが、守りたかったものを守る力を無くすのが怖かった」
我ながらこんな事を言っている時点でもう弱くなってしまったと思う。けれど、これ以上弱くなる訳には行かないのだ、次こそ妹を守るために
「…そうですか」
「空母棲姫さん、そろそろ出て頂けますか」
「わかりました」
「提督を見つけたとしても殺さないでくださいね」
「わかっています。では」
「戦果を期待しています」
ああ、提督。貴方はきっと執務室にいるんでしょう。いつもと変わらぬように。そこで待っていてくださいね。
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