13: ◆7SHIicilOU[saga]
2015/05/22(金) 22:38:21.39 ID:Nik2e00Jo
すっと、椅子に座ったままの俺に手が伸びる。
色は白く指は細く。世間の女性が羨み欲しがるであろう美しい手だ。
おおよそ、銃を持つに似つかわしく無いその腕に砲を握らせ戦わせているのだから
真我々の業は深いと言わざるを得まい。
「もぅ、私がここまでしてるのに考え事?」
その足柄の手が、指が、俺の輪郭に這う。
むくれた顔は幼くあどけなく、触れた指先はどこか冷たく涼やかで。
しかしこちらをまっすぐに見つめる瞳は表情をかき消すほどに妖艶に潤み、
指先の冷たさに反するかのように熱を帯びていた。
「……シャワーはいいのか?」
職業倫理だとかそんなものはもはやどうでもよかった、
禁止事項だと別段明記されても命令されてもいない。
躊躇いは単に個人的理由に過ぎなかったのだから。
「とっくに浴びたわよ、何時だと思ってるの?」
「それもまた、お前に言われたくはないな」
苦笑して、立ち上がり足柄のこれまた細い腰に腕を回し抱き寄せる。
「ひゃうっ」
「なんだ、可愛い声を出すじゃないか」
腕の中で小さく跳ねる彼女に意地悪く言うと
再び頬を膨らまし不貞腐れた顔をして俺を睨む。
「きゅ、急に来るとは思ってなかったもの……」
「お前が誘ったんだろう? ……ここではなんだ、部屋に来い」
書類を片付けるのは、明日にすることにしよう。
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