17: ◆7SHIicilOU[saga]
2015/05/23(土) 20:35:31.27 ID:7V0O5pBFo
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扉の軋む音、そして閉まる音。
しんと静まった鎮守府の廊下に響く小さなソレに、
私はどこか退路を失ったような、最後の分水嶺を見逃してしまったかのような。
そんな不思議な感覚を覚えた。馬鹿みたいね、自分から誘っておいて。
「どうした、そんなところに突っ立って」
初めて入る提督の部屋。
微かに鼻腔を掠める煙草の香り、男の人の、匂い。
「こっちに来たらどうだ?」
考えたのはこれからの事より先にこれまでの事。
提督は、あっさりと私の誘いに乗ってここに私を連れ込んだけれど、
過去にそういった事があったのかしら。
「え、えぇ」
見るからに豪奢な、一人で眠るには持て余す事請け合いのベッド。
そこに腰掛けて私を呼ぶ彼に、躊躇いがちに近づく。
その手馴れた対応に、また少し彼の過去に意識がいってしまう。
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