過去ログ - 京子「変わるものと」あかり「変わらないもの」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/21(木) 22:36:36.46 ID:PIOpB9hIo
一通りのお話に花を咲かせると、あかりちゃんはふっと笑いながら胸を押さえました。


「どうしたの?」

「ううん、なんかね……あかりの知らないところで、京子ちゃんはいっぱい変わっちゃったなあと思って……」

「そ、そうかなぁ……」


窓から差し込む夕方の陽が、あかりちゃんの赤い髪と優しい顔を照らして、京子ちゃんは少しどきっとしました。


「なんだかちょっとだけ、さみしいなぁ」

「……!」


目を閉じてお人形を抱くあかりちゃんが、ぽつりと言いました。


京子ちゃんはその言葉に、こころが大きく揺り動かされてしまいました。


だって京子ちゃんには、昔と今の違いがわかりません。


あかりちゃんと京子ちゃんの間には、何も変わりはないと思っていました。


それなのにあかりちゃんは、細かい変化のひとつひとつまでしっかりと覚えていて、


そして、こんなに切ない顔をしているのです。


「あ、あはは。ちょっとだけ、そんな感じがしちゃったよぉ」

「…………」


京子ちゃんは、あかりちゃんの顔が見れなくなってしまいました。


お人形さんを抱いているあかりちゃんは大きくなって、楽しげな笑顔はどこか切なさを感じさせます。


それは夕日のせいでもなく、表情に乏しいお人形さんの顔と比べたせいでもなく、


昔と今の、変化のせいでした。



昔と、違う。


何が違う?


それはきっと、一緒にいる時間が減ってしまったこと。


気兼ねなく家を行き来できていた頃と、一学年の間に生まれる差が大きくなってしまった、今との違い。


京子ちゃんとあかりちゃんの、距離。


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