8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/05/23(土) 08:14:35.96 ID:MfcNSvx0o
仕切りなおすように手をたたき、おもむろに立ち上がった。向こうの方でお茶でも淹れてくるのかな……と思っていたら、新聞紙と鋏を持ってきた。
床に新聞を数枚広げて、真ん中に小さな椅子を置く。
私の前髪を切ってくれる時の、いつものスタイルだった。
「ほらお客様、こちらへどうぞ」
「…………」
「……ん? どうした?」
……髪を整えてあげようかと言ったのは、てっきり私を家に呼ぶためのただの口実だと思っていた。
本当に切るためだったのか……驚き半分気落ち半分、制服の上着を脱いで腰掛ける。
「おお……やはり伸びてるな。前回切ったのはひと月前だったか」
嬉しそうな顔をしながら、私の前髪を指ですく先生。
位置を決めて、少しずつ鋏を入れてゆく。静かな空間に、澄んだ金属音だけがかちかちと響く。
そして、手を動かしながら話を戻してきた。
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