過去ログ - 鳥海「司令官さんが木曾さんを冷遇している?」
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29: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/05/30(土) 08:26:47.50 ID:oqyyM+FJ0


 残る敵はもういないけど、なんだか一気に疲れました。
 でも、ここから帰るまで本当には安心できない。二人に合流する。
 島風さんは俯き気味に進んでいるせいで表情はよく見えない。
 彼女の連装砲ちゃんたちが困った顔をして、私と島風さんを交互に見ていた。
 潮さんの言うように彼女の艤装は大破していて、元々の軽装がさらに薄くなっています。

鳥海「自力航行はできる?」

 大丈夫か、とは訊かない。大丈夫じゃないのは分かっていたから。
 島風さんは答えなかった。

鳥海「島風さん」

 困った子ですね……ちょっと摩耶と重なります。
 無鉄砲をして痛い目に遭って、それから――。

島風「……動けます」

鳥海「分かりました。どのくらいの速度なら出せる?」

島風「は……10ノットなら」

鳥海「木曾さん、そちらの状況を教えてください」

木曾「少し前に戦闘が終わったところだ。被害は変わらず、暁が小破だ」

鳥海「分かりました。今から合流して帰投しましょう。合流後は島風さんと暁さんを中心にした輪形陣を形成。前衛は私、右翼を響さん、左翼は潮さん。木曾さんは殿をお願いします」

 全員分の応じる声が帰ってくる。島風さんも小さい声だったけど返してくれる。

鳥海「艦隊速度8ノット」

島風「あ……もっと! もう少し……出せるよ」

 少しだけ最初の調子を取り戻したけど、すぐに島風さんは消沈してしまったらしい。

鳥海「いいのよ、無理しないで」

 本当は島風さんにも労いの言葉が必要なのかもしれない。
 でも、島風さんの独断専行が頭を過ぎってしまえば、今は嘘でもそれを言ってはいけない気がした。
 どう受け止めるにせよ、彼女のためにはならないとしか思えなくて。
 かといって、この場で追求する気にもなれません。もちろん、このままで済ませていいとは微塵も思っていませんが。
 鎮守府に作戦完了と簡単な報告をしてから、私たちは帰路につきます。
 ――勝ったのに、私は出撃前よりも重くて息苦しい気持ちで鎮守府に帰投しました。





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