過去ログ - 鳥海「司令官さんが木曾さんを冷遇している?」
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52: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/06/10(水) 10:14:10.65 ID:KXMMAyFK0


提督「木曾」

 意を決して振り返ると彼女はもう背を向けていた。
 その背中は自分の中にある印象よりも、ずっと華奢に映る。

木曾「言う通りに今日はもう寝るよ。あんたは自分で考えてるより、ずっといい指揮官だよ。だから今のことは忘れてくれ」

 待ってくれ、という声が出てこなければ体も動かない。
 手をつかんで振り向かせて、思いっきり抱きしめ唇を奪いたい。
 そんな衝動があるのに、体がそれに反応してくれなかった。
 離れていく木曾の背中を見送ることしかできなかった。

提督「忘れてくれだと……嘘をつくなよ」

 こっちは散々嘘をついてる身だ。
 つき慣れない嘘なんて簡単に見分けがつく。
 木曾にそんな真似をさせたのはどこのバカ野郎だという話だ。
 しかし、嘘をつかないということは正面から向き合うということでもある。心の準備が未だにできていない。

提督「――不安か?」

 いつか問われ、今また心の内から甦ってきた声を呟いてみる。
 状況は変わっても変わらない答えに情けなくなった。
 しかし、俺自身がそれを許さない。
 木曾がどう言おうと為すべきを為せないのが、いい指揮官とは思えないから。
 自分の弱さが他人を傷つけたのに、どうして俺は今も弱いままなんだ?
 変わることへの恐れ。これを人は罰などと呼ぶのではないだろうか?
 いや、罰が外から与えられる概念だとすれば、内から沸いてくる感情で縛られるのは。

提督「罪か」

 ……だとしたらどうだと言うんだ。
 先延ばしだろうとなんだろうと今は島風の解決が先だ。
 やれると思ったのなら、それに向けて今は動くしかなかった。
 詭弁と分かっていても、俺にはそれしかできない。





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