過去ログ - 周子「5月30日は」フレデリカ「シキちゃんのお誕生日♪」
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◆Freege5emM
[saga]
2015/05/24(日) 00:51:46.15 ID:Z5KO306+o
●03
明くる日、フレデリカと周子は、志希の自宅を訪れていた。
「と、ゆーわけでアタシたちがご招待にあずかりましたシキちゃんラボ!」
フレデリカがまさに呼び鈴を押さんとする志希宅は、庭付きの一戸建て。
都心ど真ん中の事務所から、少し電車に乗るだけでたどり着ける住宅街の一角だった。
(志希ちゃんが寮を出て一人暮らし始めてちょっと経つけど……あたしと同い年で都内に持ち家?
アメリカ帰りとか言ってたし、志希ちゃんってイイトコのお嬢さんなのかな)
周子は、建物からいくらかはみ出している“アヤシイ実験器具”から、
この“シキちゃんラボ”が持ち家だと判断した。
借家であったら絶対に許されないほどの危険な雰囲気だったのだ。
「シキちゃーん♪ アタシだよーアタシアタシー♪」
『ええー、誰かな……ニオイを嗅がせてくれなきゃ分かんなーい♪』
「インターホン越しでニオイが分かるかいな」
志希がインターホンの応答を切ってドアを開けるまでの間で、周子は密かに深呼吸した。
その敷居をまたぐのには、ちょっとした心の準備が必要だった。
「うわー、なんか科学者ってゆーより錬金術師ってカンジ♪」
「そーそーフレちゃん! この間のパフュームトリッパー公演から、
こーゆーレトロちっくな実験器具にハマってさー。それから揃え出したんだよねー」
志希の部屋は、とてもそこが生活空間とは思えない有様だった。
ビーカー、フラスコ、乳鉢、シャーレ、顕微鏡など……
フレデリカや周子が、学校の理科室で見たことのある器具は、まだ生易しい方。
素人にはまったく使い道の分からない大掛かりな実験器具の合間に、
古めかしい金属光沢を纏う天秤や蒸留器、インク壺や羽ペン、
重厚な皮革に金箔をあしらったミニアチュール入りの洋書が平気で並んでいる。
(これ……家電とかインテリアどころじゃないやん)
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