6:名無しNIPPER[saga]
2015/05/25(月) 08:34:05.29 ID:aSX0k2+n0
例えば、雨の日。
窓ガラスをノックする雨音に紛れて聞こえてくる、提督室からの声。
つい扉の前で立ち止まってしまい、部屋に入ろうとする足に楔がかかる。
ドアノブの奥から聞こえてくるのは賑やかな談笑。
その会話に混ざり、とある戦艦から司令官宛に熱烈にアピールが聞こえるんだ。
己が不器用だと自覚しているがゆえに、
率直に自分の気持ちを伝えることが出来るという事の素晴らしさをボクは知っている。
だからこそ、それを目の当たりにしたくなくて。
こうしてボクは部屋の前で立ちすくむマネキンへと成っていた。
この気持ちは、焦燥感。
大好きな人を誰かに奪われるのかも知れないという、大きな焦りと小さな恐怖。
カンバスに暗い色の絵の具を一滴だけ落としてしまったときの気持ち悪さによく似た、幼いボクによく似合う粗忽な気持ち。
強い雨が降る日に見える、ねずみ色の空模様。
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