過去ログ - 千早「みんなと笑って過ごしたくて……か」
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4: ◆/BueNLs5lw[saga]
2015/05/26(火) 10:48:36.37 ID:baGQKCcJ0
「聞きたくないわ……春香」

「ううん、お願い聞いて」

春香の声は震えていた。
彼女も言うのをためらっているのが分かった。
なら、言わなくていい。
言わないで欲しい。

「千早ちゃんのこと……大好きだよ。今、この瞬間も。でも、でもね……それって、どんな好きなんだろうって……」

自分自身へも問いかけるようにして春香は言った。

「この好きは、もしかしたら……みんなと笑って過ごしたいだけの好きなのかな……そう思ったら、本当にそう思えてきたの」

私は我慢ならなくなり、彼女の体を抱きしめた。
陽だまりは掴みどころがなく。
こぼれ落ちていく砂粒をかき集めるようで。

「千早ちゃんは、私の中で特別な存在だったんだ……だんだんと私に心を開いてくれて嬉しかった。ドジな私をいつも見守ってくれてすごく安心した」

「私だって、あなたが……春香が」

「……えへへ、ありがとう」

「いつもあなたのことを考えていたわ……どんなに辛い時でも頑張れたのは、きっとあなたがいたから」

私は、一人では何もできないから。
支えてくれる人が必要だから。
生きていけないから。
ああ。
でも。
あなたは、一人でも答えを出せる臆病な人だった。

「ありがとう……千早ちゃん」

体を少し離す。
彼女は泣いていた。
これは、別離の悲しみではなくて。
きっと、私を一番にすることができない、
天海春香という人間への呆れなのだろう。

「感謝の言葉なんて……いらない」

それが、最後みたいに。
言わないで。


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