過去ログ - なあ俺の作る話って、そんなにつまんねえのかよ
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1: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:30:42.68 ID:hyG6dcG2o

 一応確認してみよう。俺の話は人気がねえ。これは確かだと思われる。
 だってドス黒歓声は聞こえてこねえし狂気のサポーター軍団もいねえし猛烈嫌がらせ電話も襲ってこねえ。

 もちろん最後のがいっちゃんに重要だ。
 これがあるだけで携帯がただの目覚ましにならずに済むんだぜ?


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2: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:31:45.77 ID:hyG6dcG2o

 んでも、俺の携帯は目覚まし顔で俺の枕とお隣さんだ。
 あいつらデキてるに違いねえ。だから俺の覇道を邪魔してやがるんだ。

 っつーわけで携帯くんを隅のゴミ箱にシュートして、枕ちゃんを寝取って考える。
以下略



3: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:32:26.73 ID:hyG6dcG2o

 考えても意味ねえことがある。
 どうやらン十億年後、地球は太陽に飲まれるらしいどうしよう、とか。
 誰が知るかそんなこと。

以下略



4: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:32:54.99 ID:hyG6dcG2o

 少し考えりゃすぐわかる。
 絶対わかりゃしないって。

 だってそうだろ、人気がねえんだから人がいねえ。
以下略



5: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:33:25.64 ID:hyG6dcG2o

 賢き阿呆の俺はさて、考えても仕方ないことを放り投げて自らも放る準備に入った。
 話を組み立てるためにダイブする。
 新たな物語探しに旅立つと、つまりはそういうことだあな。



6: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:34:09.00 ID:hyG6dcG2o

 それは話を作るものなら割と誰でもやっている。
 海に潜って材料を集めて組み立てて完成品をでっち上げる、言ってみりゃそれだけなんだが。

 しかしこの海ってのが問題で、個人個人で広さも深さも違ってる、らしい。
以下略



7: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:35:25.64 ID:hyG6dcG2o

 それでも海を広げる努力は一応それなりにはしてる。
 ちみちみちみちみ水をそそいで少しは大きくなったと思う。
 ただまあ海だ、もともと把握がむずかしいほどにはでけえ。
 多少注いでみたところで変わらないのは考えなくたってわかるわけで、つまりは何となくで喜んでみたりしてるだけなんだがな。
以下略



8: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:36:16.34 ID:hyG6dcG2o

 そんなことをほわんほわんと考えながら波間をたゆたっていたところ、頭の中にきんと声が響いた。
「さっさと潜りやがれカス」
 へいよ、俺は答えて水をかき分ける。
 声の主は……なんだろな。ナビゲーターとか呼びゃいいのか。
以下略



9: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:36:42.48 ID:hyG6dcG2o

 正体は不明。海の精だとも各人の脳が作りだした架空の人格だとも言われている。
 まあ海も個人の付属物だからして、分ける意味ねえだろってのが正直なところだが。
 とにかくこのナビゲーター、性質もそれぞれに違うらしい。

以下略



10: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:37:20.26 ID:hyG6dcG2o

 そうこうしているうちに海の底が次第に近づいてきていた。
 ヘイナビインコ、こっからどうするよ。
「材料探せ」
 そりゃ分ってるよ、どこにあるかどれ使うか聞いてんだ。
以下略



11: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:38:00.81 ID:hyG6dcG2o

 仕方なく俺は泡の一つを捕まえる。
 それから海藻、巻貝の殻。
 揃ったところで一つにまとめ、そっと胸の高さで手を離す。

以下略



12: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:38:34.69 ID:hyG6dcG2o

「完成だカス」
 俺はそれをじっと見下ろす。
 綿密な観察の後、素直に疑問を口にした。
 なあこの話って一体誰にウケるんだ?
以下略



13: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:39:12.93 ID:hyG6dcG2o

 なんといやいいのかそれは、反応に困る話だった。
 セキセイインコの生まれてから死ぬまで、と一言でいえばそんな感じだ。
 グロい肉塊が卵からこんにちはしてしなびた肉塊として野にさよならするまでの一連を克明に執拗に描いた超傑作、とナビは言う。

以下略



14: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:39:48.28 ID:hyG6dcG2o

 舌打ち一つ、俺は海底を歩き出す。
「どこ行くカス」
 うっせマジもんの大傑作を今から作りに行くんだよ。
 もちろんテメエにゃ頼らねえ。さっさと消えろヘボインコ。
以下略



15: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:40:24.13 ID:hyG6dcG2o

 とはいえナビなしで作れるほど、俺単体に力はない。
 とぼとぼ歩いていると目の前に、ごつごつとした岩場が広がった。
 岩場にゃ魚がよく住み着く。魚は話のよい材料になる。
 ただし俺一人では捕まらないのは言わずもがな。
以下略



16: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:41:09.53 ID:hyG6dcG2o

 まあ知識としては知っている。あれは海賊船だ間違いなく。絵本かアニメで見たことはある。
 ただし作話の海の中でとなると話は別だ。こんなものがいるなんて俺は聞いたことがない。
 俺はウツボを放って海賊船に近づいた。そうっと刺激しないように。

以下略



17: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:41:36.19 ID:hyG6dcG2o

 無事に着いた甲板の上、別に何があるわけでもない、枯れたジジイがいるだけだ。
 今にも死にそうな声でそいつは言う。
「お前は何者だ……」
 うんにゃ。ただの通りすがり。
以下略



18: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:42:06.59 ID:hyG6dcG2o

 俺は即座に素材を集めた。塩の結晶と流氷と、それから海底の真白い砂。
 ナビがいなけりゃ話はつくれねえんだが、食いもんぐらいならわけはねえ。
 そうしてできた笹団子をジジイはペロッと平らげた。
「助かったよありがとう」
以下略



19: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:42:59.12 ID:hyG6dcG2o

 俺は早速ふたを開けた。
 途端周りの空気が猛烈に回転して、視界いっぱいが紫に染まった。
「言い忘れておったが話の素はその容れ物だ」
 遠くから聞こえる声に俺は怒鳴り返した。は!? だったか、あ゛!? だったか。
以下略



20: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:43:33.21 ID:hyG6dcG2o

 目を覚ますと俺は死にそうだった。
 というか半分くらいは死んでいた。
 体の水分が必要量の下限を割ってんだから当たり前と言えば当たり前。
 砂漠のど真ん中にて、俺はうららかな殺人日光に焦がされていた。
以下略



21: ◆i2.pJBgDO.[saga]
2015/05/28(木) 00:44:04.92 ID:hyG6dcG2o

 どこだここ。俺は作話の海にいたはずなんだが。
 波打つ砂と乾いた熱風、海でないのは間違いない。
 裏ステージに叩き落とされたか。そんなもん聞いたことがねえ。

以下略



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