243:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/27(火) 23:08:00.85 ID:/6GNRNsM0
=== 闇の中 ====
レイ「私は誰?」
もうひとりのレイ(別レイ)『綾波レイ』
レイ「あなた、誰? あなたも綾波レイなの?」
別レイ『そう。綾波レイと呼ばれているもの。みんな、綾波レイと呼ばれているもの』
レイ「どうして、みんな私なの?」
別レイ『他の人たちがみんな、私たちを綾波レイと呼ぶからよ。あなたは、偽りの心と体を、なぜ持っているの?』
レイ「偽りではないわ。私は私だもの」
別レイ『いいえ。あなたは偽りの魂を碇ゲンドウという人間によって作られたヒトなのよ。人の真似をしている偽りの物体に過ぎないのよ』
レイ「……」
別レイ『ほら、あなたの中に、暗くて何も見えない、何も分からない心があるでしょ? 本当のあなたがそこにいるの』
レイ「私は私。私はこれまでの時間と他の人たちとのつながりによって私になった。他の人たちとの触れ合いによって今の私が形作られている。人との触れ合いと、時の流れ。私の心の形を変えていくの」
別レイ『……』
レイ「そう。綾波レイと呼ばれる、今までの私を作ったもの。これからの私を作るもの」
別レイ『でも、本当のあなたは他にいるのよ。あなたが、知らないだけ。見たくないから。知らないうちに避けているだけ』
レイ「……」
別レイ『人の形をしていないかもしれないから。今までの私がいなくなるかもしれないから。自分がいなくなるのが恐いのよ。みんなの心の中から消えるのが恐いのよ』
レイ「恐い? 分からないわ」
別レイ『自分だけの世界も、無くなるの。自分が消えるのよ』
レイ「いえ、嬉しいわ。私は死にたいもの。ほしいものは絶望。無へと還りたいの」
別レイ『……』
レイ「でも、だめ。無へは還れないの。あの人が還してくれないの。まだ還してくれないの」
別レイ『……』
レイ「あの人が必要だから私はいたの。でももう終わり。要らなくなるの、私。あの人に捨てられるの、私」
別レイ『……』
レイ「その日を願っていたはずなのに、今は、恐いの……」
目に浮かぶシンジの怯えた顔
レイ「……」
闇
明るくなる視界
初号機ケージの天井
天井付近の管制室から見下ろしているゲンドウ
レイに覆いかぶさっているシンジのシルエット
自分の掌を見つめて目を見開いている
レイ「知らない」
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