263:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/07(土) 12:19:08.70 ID:/79cMatc0
==== 14年後 晴れた昼下がり 新第三東京市 ====
山裾に延びる道路に沿って真新しいマンションが立ち並んでいる
子供たちのはしゃぐ声が響いている
付近に立つ1棟の外壁に、デザイン化された「6」の文字
==== マンションの一棟(6号棟) 共用廊下 ====
開いているドアから作業着の男たちが帽子をとってお辞儀をしながら後ずさりに出てくる
作業員「じゃあ、失礼しまーす」
帽子をかぶり直して通路を歩き出す作業員たち
見送りに若い男女が出てきて、男たちの去っていく方に頭を下げる
女性「ありがとうございました」
顔を上げる女性 空色のショートヘア
しばらく見送ってから部屋に入っていく二人
閉じるドア
ドアの脇の表札
「402 碇」
==== 室内 ====
戸口に立って、室内をひとわたり眺める女性 赤い瞳
まだ梱包された家具や段ボール箱が積み上げられている
部屋を横切ってベランダに出る女性
==== ベランダ ====
手すりにもたれて屋外の景色を眺める女性
風が空色の前髪をそよがせる
眼下の広場では子供たちが嬌声をあげて走り回っている
道路脇、先ほどの作業員たちが引っ越し業者のロゴが描かれたトラックに乗り込み走り去る
隣接棟の向こうに新第三東京市の中心ビル群が覗いている
部屋の奥から黒髪の若い男性が出てきて女性の隣に並ぶ
男性「天気が良くて、よかったね」
女性「そうね」
しばし黙って景色を見ている
男性「……ホントに、ここでよかったの?」
女性「ええ」
男性の方に顔を向け、微笑む
手すりにかけた男性の腕に手を添える
左手の薬指に指輪が光っている
女性「私たちの、はじまりの場所だもの」
一瞬、あっけにとられる男性
じっと見ている女性
男性「そうだね」
少し紅くなって微笑む男性
また正面の景色に向き直る二人の後姿
鳥のさえずり 子供たちの声
遠くにビル群と山並みが見えている
二人の髪が風に少し揺れ、また止まる
271Res/423.73 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。