166:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/10(月) 00:29:11.89 ID:JvL7p5r+0
瑞鳳「番頭さん?」
僕の顔を覗き込んできた瑞鳳さんと目が合う。
顔には心配の色が色濃く浮かんでいる。急に言葉を切った僕を変に思ったんだろう。
「あ、ああ。ごめん」
瑞鳳「どうしたの?大丈夫?」
「……ちょっと頭がね。二日酔いだと思う」
心配を掛けまいと、追求を避けようととっさに嘘をつく。
瑞鳳さんは僕の嘘を信じてくれたようで、安心半分、心配半分の様子でほ、と息をついた。
……僕はこの人に何度嘘を吐くんだろう。こんなにも優しい人に。
瑞鳳「昨日あれだけ飲まされたもんね。仕事出来そう?」
「大丈夫、問題ないよ」
彼女から目を逸らしつつ答える。
心が呵責でざわつく。不快だ。
瑞鳳「無理しないでね。工廠ついたら水持ってきてあげる」
「……ああ、ありがとう」
どうしてこの人はこんなにも優しくしてくれるのだろう。
心が優しいから?
真面目だから?
「行こうか」
なら、その優しさで。
その真面目さで。
僕に優しくしないでくれ。
僕に、僕にだけでいいから。
その優しさを向けないでくれ。
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