293:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/05(月) 00:12:54.36 ID:i3pND+iO0
提督「他にもあるか」
「いえ、以上です」
そうかと提督が言うと、ふ、と部屋を覆っていた張り詰めた空気が霧散した。
開け放たれていた障子の外から、小鳥の囀りが聞こえてくる。
ずっと聞こえていたのだろうけど、それに気づかないほど僕は緊張していたのか、それとも提督の発する空気が凄まじかったのか。
提督「それじゃあ飯だな。着替えるから少し待っていろ」
そう言って提督は和室を出て行った。
「……はぁ」
重い空気にようやく開放されたことに思わずため息が漏れる。
そこで正座で足が痺れていることに気づいた。こんなことにも気づかないくらいに緊張していたらしい。
「……やっぱこういうのは苦手だ」
足を崩して弱音を吐く。できればもう二度とやりたくない。
でもそのお陰で選べる選択肢が増えた。それも皆の安全を守った上で、弥生ちゃんを救うことが出来るかもしれないより良い選択肢を。
十分やった甲斐はあっただろう。
後はそれを選びとれればいい。……引っかかりは残るが。
今後の事に思いを馳せていると、部屋の外から提督の声が掛かった。着替えが終わったらしい。
その声に小さくため息をついて、僕は痺れた膝をゆっくりと立たせた。
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