444:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/26(土) 23:56:21.66 ID:+9Q5K7Kj0
那智「三日月、望月。二手に分かれて敵の空母の種類、数、位置、加えて戦艦級の味方の位置を探れ。可能であれば棲姫の位置もだ。……今は混戦していて見つからんと思うが、くれぐれも慎重にな。見つかったらすぐに戻るか、場合によっては参戦しろ」
三日月「……了解しました」
望月「はいはーい。……めんどくさいけど、やるっきゃないよねー」
名前を呼ばれた二人は各々に頷いたものの、その身に襲う緊張と恐怖は隠しきれていなかった。三日月は顔を引きつらせ、望月は軽口を叩いたがその声音は暗かった。
いくら混戦して見つかりづらい状況とはいえ、一度見つかれば集中攻撃を受ける可能性は高い。そうなれば軽装の彼女らではひとたまりもない。
見つかった場合の対処を那智は口にはしたが、実際には応戦も逃走も難しいだろう。つまり見つかれば死が待っているという事を意味する。
だからと言ってここで動かないという選択肢はない。それら全てを理解しての二人の頷きだった。
彼女達は二手に分かれ、包囲網を遠巻きに囲むような動きで駆けて行った。
長良「空母を叩くんですね」
駆けて行く三日月と望月を見つめながら長良は那智に問うた。それにああ、と那智は頷く。
那智は空戦が拮抗状態にある点に目を付けた。この戦力差で押し切られていないという事は航空隊を操る艦娘は相当の手練れということだ。
敵の空母を一隻でも落とす事が出来れば空の戦況は優位に傾き、制空権を奪う事は易くなる。空母を落とす数が多ければ多いほどそのスピードも速くなるだろう。
制空権を完全にこちらのものにしてしまえれば、空の戦力を海へ向けることが出来、劣勢の状況を少しでも巻き返せると那智は考えた。
やがて後続でこちらの援護部隊も到着する。それまで持ちこたえることができれば劣勢の状況は一気にひっくり返すことが出来るだろう。
故に那智は足が早く、軽装で目立たない三日月と望月を使い、敵の空母の位置を把握しようとした。
空の制空権の奪取。それが那智が考えたこの戦場の『穴』――突破口である。
五十鈴「上手くいければいいわね」
だが当然不安要素もある。深海棲姫の存在だ。
どのような能力を持っているか未知数な上、包囲網を仕掛けてくる高い知性を持った敵だ。どう動くか解らない。
那智「祈るしかないさ」
しかし現状いくら警戒しようともこちらが取れる手はない。
那智の言葉通り、今は成功を祈る事しか出来ないのだ。
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