482:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage saga]
2016/01/20(水) 01:26:23.92 ID:hIGgmJpd0
霧島「……ですが……」
霧島の命は助かり、戦列に戻ることはできた。
しかし、彼女達を取り巻く状況は何も変わっていない。それどころか悪くなっている。
霧島は艦装の破損により火力が落ちている。更には那智の砲撃による負傷も加わり、満足にその体を動かせなくなっていた。
そして彼女らの残された弾も少ない。継戦してきた霧島も元より、捕縛隊として海に出てきていた那智もそう多くは弾を積んで来てはいなかった。
二人の奇襲とも言える攻撃を受け崩壊した敵の前衛も、既に次を築き上げようとしていた。
このままでは救援が来るまで持つかどうかわからない。万事休すか。
だが、それでも諦めるわけにはいかない。此処で諦めては国民を飢餓に陥らさせ、自分達の命も、提督の名誉も、全てが終わってしまう。
諦めるものか、と歯を食いしばり、炎に焼けた体に鞭を入れて那智は砲塔を敵の群れに向けた。
那智「……な……ア?」
しかし、突然にぐらりと那智の視界が歪む。続けて全身から汗が吹き出し、大きく震え始めた。
突然の体の不調、そして敵を目の前にしての焦りが彼女の理性を刈り取ろうとする。
那智は必死と耐える。ここで理性を失うことは命をも失うことを意味するからだ。
なぜ。こんなところで。耐えろ。敵を倒せ。無理だ。死ぬ。生きたい。死にたくない。考えるな。戦え。諦めろ。逃げたい。逃げるな。会いたい。
頭に様々な言葉が巡る。抑制と暴走のせめぎ合いが更に彼女を追いこむ。
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