606:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/20(水) 21:02:12.03 ID:bHe9xFKs0
見えた表情に強い衝撃と、どうしようもない既視感を覚える。
いつもの彼女とは想像できないほどに、目は虚ろに沈み、表情に力は無く、隠しきれない絶望がにじみ出ていた。
……まるで、昔の僕を見ているようだった。
恐らく、この表情はリミッターを解除したことによる倦怠感によるものではない。
心に深く、深く傷を負わなければこうはならない。
文月「う、うーちゃんっ、しゃべっちゃ……」
卯月「ねぇ……ばんとーさん……ばんとー、さぁ……ん……!」
制止する文月ちゃんを無視して、卯月ちゃんは言葉を重ね、僕に向けて震える手を向ける。
言葉尻は強く震え、涙色に濡れている。腕は倦怠感に上げることすら辛いだろう。その姿はまるで深い闇の中、必死と希望の光に縋り付こうとするようだった。
何が彼女をここまで追い詰めたかは解らない。
でも、今は解らなくたっていい。差し出された絶望に震える手を握らない訳にはいかなかった。
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