過去ログ - 途中で放棄したＳＳを供養するスレ -SS速報VIP

過去ログ - 途中で放棄したＳＳを供養するスレ

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17:名無しNIPPER[sage]
2015/06/01(月) 00:21:27.89 ID:3gFTyJdW0
満月によって、暗緑色の草原には茶色の白波がいくつもたっていた。
その一つである仮設テントの中で、男がだるそうに身体を横たえていた。
今の彼にのしかかっているのは、疲れだけではない。
明日の任務への不安、不満がいっしょくたになったものだ。
男の任務は斥候であった。
三人一組で小隊を編成し、偵察を行う。
そして、敵の情報、地形情報を記録して本隊へ届けるのだ。
戦争において、これがどれほど重要なことかは
痛いほどわかっている。
だから、この任務から退くことはできないのだ。
たとえ、どんなに忌々しくても。
男は秘密情報部部隊長から、言われたことを思い出した。
『この３日間、我々は敵の戦線を突破できていない。
あの厄介な森と、オーク共のゲリラ戦術を同時に攻略する必要があるのだ
だが、斥候がまるで機能していない。
斥候部隊の本隊長としてひよっ子共をつれて、見本を見せてやってくれ』
男は再び、あのにやけた面にフライパンをぶつけてやりたい衝動に駆られた。
あの秘密野郎は斥候が機能していないこと自体が異常なのだということに気が付いていないのか。
小隊長はいくつも場数を踏んできた面子であったし、隊員も新兵ではなかった。
それが６部隊以上、何の知らせもなく消息を絶っている。
斥候部隊だけでは手に負えないことは明らかであろう。
慌てて男は悲観的な予測を振り払った。
これでは到底、任務を成功させることができない。
彼は一刻も早く睡眠に落ちることを願って、強く目を閉じた。

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