過去ログ - 速水奏「インタビュー・フォー・ヴァンパイア」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/06/05(金) 22:23:51.53 ID:tvnnVSKgo
「吸血鬼さんかー。やっぱトマトジュースとか好きなん?」
「むしろ嫌いね。血もそんなに好物じゃないし」
「それ吸血鬼としてどうなの」
「昔からよく言われるわ」
血なんて数えられる位しか啜った記憶が無い。
ただ、落ち零れめ、と事あるごとに蔑まれたのはよく覚えている。
口癖のようにそう呟いていた両親の顔は、もう記憶の海に埋もれて思い出せないけれど。
「ミルクの方がずっと美味しいじゃない」
「奏のイメージ的にはブラックコーヒーとか飲みそうだよね」
「そっちの分はPさんに任せてるの。二人合わせればカフェオレで丁度良いでしょう?」
「後はブランデーとか……っていうか奏、そしたら年上?」
「最近は数えてないけど、だいたい貴女の十倍ちょっとかな」
物心が付いた時、私は今で言う中東に居た。
中東、欧州、新大陸。
血の匂いのする国を、両親に連れられて転々として。
争いに嫌気が差してこの国にやって来たのも、もう十数年前になる。
「日本は平和で良いわ。吸血鬼狩りも居ないし」
「え、マジでそんな奴ら居んの」
「ええ。銀の弾丸で撃たれた時は焦ったわ」
襲われて、騙して、殺して、狙って、逃げて。
そんなのはやりたい奴等同士で勝手にやっていてほしい。
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