過去ログ - 葉山「だから俺は君が嫌いだ、比企谷」
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167:名無しNIPPER
2015/06/27(土) 12:48:12.92 ID:2OhBi0qE0
……なんて。とんでもないことをとんでもない笑顔で言われてしまった。

雪ノ下雪乃が闇を抱えていたように、雪ノ下陽乃が闇を抱えていたように。

葉山隼人という男もまた、大きな闇を抱えていた。

絶対に相容れることがないと思っていたその男とその思想。

だがその実、俺とやつのそれは同じところから端を発しているのではなかろうか。

本物を求めているからこそ偽りを嫌悪する男。

本物が手に入らないならと偽りを求める男。

起点だけを見れば、当人たちが思っているほど違いはないのかもしれない。

だが、互いの胸の内ですくすくと育っていったそれは、出逢ったときにはもはや完全な別の思想となっていた。

二つの思想が出遭ったとき。それは即ち葉山隼人という人間が俺の存在に気づいたとき、俺が葉山隼人という人間のあり方の片鱗に触れたとき。

あのとき、葉山はもしかしたら俺に対してわずかながら共感を持ったのかもしれない。仲間意識を感じたのかもしれない。

無意識なのだろうが、それはきっと俺も同じだったはずだ。

誰にも理解されない、わかりあえないと諦めていた己の理想。

その道を共にする人間が現れたのだと互いに興味を持ったのかもしれない。

だが、いざ相手の思想に触れてみればそれはまったくの別ものだったわけで。

それはなんと残酷なことなのだろうか。

期待をしたからこそ、夢を見てしまったからこそ、それが裏切られたときの喪失感は計り知れないものとなり。

可愛さ余って憎さ百倍。淡い夢想は漆黒の炎へと変わってしまった。

ああ、なんて滑稽なことだ。

俺と葉山隼人があそこまでいがみ合い、互いを嫌悪した理由。

なんてことはない。

それはただの同属嫌悪だったのだ。


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