262: ◆7SHIicilOU[saga]
2015/12/12(土) 02:11:29.61 ID:o4oQyc8vo
―――
「……なるほどわからん」
ドングリの様な硬い殻に覆われた赤い木の実。
ブドウのような薄い皮に包まれた林檎大の果実。
しまいには中まで真っ黒な卵のような形をしたスイカ程の大きさの何か。
あまりにも俺の知っているそれらとかけ離れすぎて判断のしようがない。
とりあえずそれっぽいものをいくつか回収してはいるが、
はてさて一か八かにでてみていいものか。
くそっ、こういう時に芳乃が助言をくれるとありがたいんだが。
昨夜焚き火前で寝た時もそういえば夢に芳乃はでてこなかった。
もう少し、せめて最初の目的地だけでも教えてくれれば……。
「てっ!」
物思いに耽りながら歩いていたら思い切り転んだ。
と、言うよりもむしろ今のは……。
カラン カラン
乾いた木のぶつかる音が上空からいくつも鳴り響く。
「鳴子――っ!?」
言うが早いか、人の気配を感じ飛び起きる。
大樹のみならず様々な植物が複雑に絡み、上空には枝がたっぷりと葉をしたためているため
日光も入りづらく暗い森の中、けれど確かにいま視界の端に誰かが――。
「後ろです。P殿」
見ていた方向とは違う。背後からの声。
けれど、俺はさして驚きもせずゆっくりと振り返る。
「あやめ、か」
「はい! やはりP殿もこちらに来ていたんですね! よくご無事で!」
見慣れた忍者姿にどことなく力が抜ける。
やはりアイドルは他にもこちらに来ているようだが、
なんにせよ元気そうでよかった。流石は忍者か。
「色々言いたいことも話したいことあるが、とりあえず一ついいか?」
「はい、なんでしょう!」
なにはともあれ。
「……食うもんもってない?」
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